アラム・ハチャトゥリアン(1903-1978):
1-3. ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
ボリス・グートニコフ(ヴァイオリン)
コンスタンチン・イワーノフ(指揮)/ソヴィエト国立交響楽団 録音:1981年
4-6. ピアノ協奏曲 変ニ長調
アネット・サーヴァデイ[アンネッテ・セルヴァデイ](ピアノ)
ジョゼフ・ジュンタ(指揮)/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1987年
原盤:A Tempo Prague, Aquarius Music/Hyperion
ALTO【イギリス輸入盤】
アラム・ハチャトゥリアン(1903-1978)は、アルメニア出身のソ連の作曲家。バレエ「ガイーヌ」でよく知られていますが、ピアノやヴァイオリン、チェロのための協奏曲も1曲ずつ残しています。「ヴァイオリン協奏曲」は1940年に作曲され、オイストラフ&ガウクにより初演されて大成功を収めました。また、この曲はジャン=ピエール・ランパルの編曲による「フルート協奏曲」としてもよく知られています。ハチャトゥリアンらしい民族性が豊かな作品で、土俗的なメロディーや激しく盛り上がるリズムが聴きどころになっており、テンションの高い面白い作品です。「ピアノ協奏曲」は、モスクワ音楽院に進み、ミャスコフスキーのもとで作曲法を学んでいた頃の作品で、名ピアニストのレフ・オボーリンに捧げられました。初演は成功とはいえなかったようですが、次第に認められてハチャトゥリヤンの評価を決定づけた出世作です。民族色にあふれた独特のリズムやメロディーがとても個性的で、特に2楽章の民族楽器の響きはかなりユニークなものとして知られています。
演奏しているボリス・グートニコフ(1931-1986)は、1956年プラハの春国際音楽コンクール第1位、1957年ロン=ティボー国際コンクール優勝、1962年のチャイコフスキー国際コンクール優勝という凄い経歴のヴァイオリニスト。教育者としても高名で、来日演奏歴もありますが、ソ連崩壊前に50代半ばで亡くなってしまったこともあり、「幻の巨匠」的存在となっています。圧倒的な美音と卓越した技巧がビンビンに伝わってくる名演です。一方のアンネッテ・セルヴァデイが演奏する「ピアノ協奏曲」は、濃厚な民俗色を基調に絢爛豪華な音の絵巻を繰り広げています。