アンドレイ・チスチャコフ(指揮)/ニュー・ロシア管弦楽団 録音:1996年11月
Bel Air Music【モナコ輸入盤】
このチスチャコフ盤は数あるラフマニノフの2番の中でもトップにあげてもいいくらい、優れた演奏。オケは意外なくらい巧く、録音も自然で美しい。そして何といってもいかにもロシア的な甘いカンタービレがたまりません。金管は適度にロシアらしさがあり、かといってトランペットが始終咆哮してうるさいというわけでなく、近代的にリファインされた正統的なロシアの名演奏とでもいうべきでしょうか。ややもすると、3楽章ばかりベタベタとロマンチックに飾り付けてしまい、他の楽章は中身がスカスカ、もしくはブーブーとやかましいだけの演奏が多いのですが、どの楽章も深い息吹と生命を感じさせ、しかもそれでいて全体をスッキリきれいにまとめ上げているチスチャコフの実力は高く評価されてしかるべきでしょう。かつて「レコード芸術」誌の「海外盤試聴記」でも推薦扱いだったののも当然。ラフマニノフ・ファンはぜひお試しを。